商品企画で求められる力 〜平面を立体で捉える〜

こんにちはTRANSIC MDの小寺です。

今年は久しぶりに賑やかなゴールデンウィークでしたね。

以前に仕事のオンとオフの切り替えのお話をしましたが、長期お休みの後のスイッチの切り替えも、なかなかスムーズに行きませんよね。

私もスイッチの切り替えはすぐにできないので、長年心がけていることは、お休み中もスイッチを完全にオフにはせず、数十パーセントはオンにしておくこと、それと日曜日の夕方から段々スイッチを入れるようにしています。

そうすると、ブルーマンデーの朝の憂鬱が少し軽減されるかもしれません。

さて、春といえば就職活動が始まる季節で、現在真っ只中、という方もたくさんいらっしゃると思います。
そこで今回は商品企画職についてお話ししたいと思います。


平面から立体をイメージすること

バッグのデザイン画“企画職”というと、新しいものを生み出す楽しさがあり、やってみたいと思われている方も多いと思います。

特にカバンのような商品企画の際に、必要な能力の一つに「平面上に書かれたもののデザインから、組み立てた後の立体を想像する」という力があります。
実は残念ながら、私はこの想像が得意ではありません。

自分の中で想像していたものと、出来上がってきたサンプルに差がなければないほど、この能力は高いと言えると思うのですが、出来上がった初回サンプルを見ると私は「おっ、こうなったか」と思うことが多いタイプです。

このことがずっとコンプレックスで、その能力が高い人はどう空間を捉えているかをみてきました。
そうすると3つの重要な点が見えてきました。

<素材の選定>

1つ目は、“素材の選択”です。

どのような素材がどのようなフォルムを形成するのに有効か、どのような加工ができるのかを知った上で、そのカバンにあった素材を選定することです。

同じ革でも、柔軟な加工ができる柔らかい革、加工しづらいけれどフォルムを維持できる硬い革、加工がしやすいが耐久性が弱いポリウレタン、芯材が必須のナイロン素材、と用途によって使い分ける素材がたくさんあります。

素材によってカバンの持つ雰囲気も変わってくるため、平面上で描かれたシワやフォルムの雰囲気と合った素材を選ぶことによって立体にしたときも同じ質感が出てきます。

<工程と技術の知識>

2つ目は、“組み立て工程と技術の知識”です。

技術を含めた生産工程を理解していることによって、技術的に平面から立体にすることが可能かどうかが判断できるようになります。
またその技術が、立体にするとどのような形状を形成するのかを知っていることによって図面に落とし込めることになります。

例えば全体的に丸い形のカバンにしたい場合、縫製は内縫いの方が丸みを帯びます。
側面のマチを上部でしっかり出したい場合は、側面のパーツを前胴とで切り返す必要があります。

このように、自分の出したい形は、どの技術を使えば出せるのかを知っていると図面と立体との差はあまり出てきません。

<繋ぎ目の想像>

3つ目は“繋ぎ目の想像”です。

カバンは大きく、前胴・背胴・側面(マチ)・上部・底部のパーツから成り立っており、平面上のパーツと立体にした時のパーツとがかけ離れるということはあまりありません。
想像が難しいのは、それぞれのパーツが “繋がる部分”で、その繋がりがカバンにどう影響するか、ということです。

パーツのサイズを指定し、ひとつひとつ見れば、平面上で問題がないように見える場合も、パーツを繋ぎ合わせていくとこんなサイズ感じゃなかった、と想像のサイズとのズレが生じることがあります。

特にマチ部分のサイズは前胴、背胴と繋がっている場合、マチのある底部と口元でサイズが違ってきます。
またそれぞれのサイズがカバンのフォルムを形成するため、繋がり方とフォルムが一致していなくてはなりません。

私はこの3つのポイントの中でも特に3つ目が苦手で、とても苦労しています。
でも、最近では、たくさんの経験とサンプル師さんからのアドバイスで、これらのポイントを見られるようになってきた気が少ししています。


経験が自分を育ててくれる

オフィスで話合う人々私はずっと自分を分析や理論の組み立ての方が得意な左脳派だと思ってきました。

ある時、店長の山形から「小寺さんはどう見ても感性でものを見る右脳派」と言われ、「え〜そうなのか?じゃぁ平面から立体を捉えることも、いつかできるようになるかも」と思って立体を捉える能力と右脳が関係するのかはわかりませんが、企画を続けてきました。

これから社会人になる多くの方も、初めは向いてない、できないと思うことでも、自分なりに分析して経験を積んで行けばできるようになるよ、と思う小寺でした。

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