2021年 11月 02日アドバイス
ビジネスマンのコート選び|フォーマルからカジュアルまで一挙紹介!
ビジネスマンのコート選び、「なんとなくスーツに合うから」という理由でコートを選んでいませんか?
しかし実際には、「スーツには合うけど、フォーマルシーンに相応しくないコート」や「スーツに合わすにはカジュアルすぎるコート」も多いものです。
TPOに合わせたコーディネートができるビジネスマンはとてもスマート。
コートに関しても知識があると、非常に役立ちます。
そこで本記事では、
・ビジネスマンのコート選びのポイント
・フォーマルシーンでのコート
・スーツに合うコート
・カジュアルなビジネスコート
・ビジネスコートの着回し
・コートのお手入れ方法
・ビジネスコートのマナー
について順に解説していきます。
知らないうちに恥をかいていた、ということのないように、一読することをおすすめします。
ビジネスマンのコート選びのポイント
ビジネスコートは、普段のコート選びとは違って、抑えるべきポイントがいくつかあります。着丈・袖丈・身幅をチェックし、ジャストサイズのものを選ぶ
一番気をつけたいポイントは、ジャストサイズのコートを選ぶこと。カジュアルな普段の着こなしでは、ゆとりのあるビッグシルエットのコートが最近のトレンドとなっています。
ラフでおしゃれな印象が魅力ですね。
しかし、ビジネスマンがこういったコートを選んでしまうと、スーツとのバランスが崩れ、ちぐはぐでだらしなく見えてしまいます。
また逆に、インナーの上に直接着られる細身のコートなども、スマートなシルエットが特徴となりおしゃれですが、ビジネスコートではありません。
スーツのジャケットの上から着ても窮屈にならず、ジャケットがシワにならない程度のゆとりが必要です。
具体的には、着丈・袖丈・身幅の3点をチェックしましょう。
<着丈>
コートには、膝下のロング丈、膝上のミドル丈、それより短いショート丈など、様々な長さがあります。長いほどフォーマル、短いほどカジュアルな印象となります。
迷う場合は、膝より少し上のミドル丈がおすすめ。
すっきりと軽やかながら、フォーマルでの対応も可能です。
ショート丈を選ぶなら、かがんだ時でもスーツジャケットの裾が見えないよう、ジャケット裾より少なくとも5cm程度長いコートを選びます。
<袖丈>
ジャケットの袖が完全に隠れるが長すぎないのが理想です。長すぎると子供が大人用の服を着たようにサイズが合っていないように見えてしまうので、どんなに長くても親指の付け根よりは短くします。
袖詰めのサービスなどを利用するとよいでしょう。
<身幅>
コート選びの際には必ずスーツの上から試着し、身幅・肩幅がしっくりくるかチェックします。大きすぎても小さすぎてもシルエットが美しくなりません。
シンプルデザインで落ち着いたカラーを選ぶ
ビジネスコート選びでは、人目を引くデザインやカラー・柄などは不要です。信頼を得られるような、シンプルなデザインで落ち着いたカラーのコートを選びましょう。
ダークグレー・ダークネイビー・ブラック・ベージュ・ブラウンなどの基本色なら、どんなスーツにも合わせやすく、間違いがありません。
ビジネスコートスタイルでおしゃれをしたい場合は、装飾のディテール、生地や仕立てのクオリティー、コート以外の小物とのコーディネートで差をつけるとよいでしょう。
自分に似合うものを選ぶ
また、自分に似合うコートを選ぶのも大切です。特に、体型のコンプレックスをカバーできるものが似合うと言えるのではないでしょうか。
例えば、身長の低い人はロング丈を避け、膝上のコートを選びます。
また、腰ベルト付きのコートで腰の位置を高く見せるのもよいでしょう。
ぽっちゃり体型の人は、襟元にボリュームのあるコートを選ぶことで、顔を小さく見せる事ができます。
また、しっかりした生地でシルエットがストレートの短めコートだと、着膨れしにくいでしょう。
毛足の長いふわふわした素材はボリュームが出てしまうのでNGです。
フォーマル度にあったものを選ぶ
最後に、ビジネスコートの選び方でとても重要なのは、フォーマル度を把握して、それぞれのシーンに合ったものを選ぶということです。一般にビジネスコートと言われるものの中では、チェスターコート・ステンカラーコート・トレンチコートが人気ですが、どれも本格的なフォーマルシーンで使えるかというと、そうではありません。
コートの種類については、以下で詳しく見ていきましょう。
フォーマルシーンに対応可能なビジネスマンのコートと着こなし方
まずは、フォーマルシーンでも恥ずかしくないビジネスマンのコートの紹介です。ビジネスでの重要シーンだけでなく、冠婚葬祭でも使えるので1着持っていると安心です。
アルスターコート/ポロコート
アルスターコートは、アイルランドのアルスター島北東地方のウールを使用したことを起源とする、非常に防寒性の高いコートです。一方、ポロコートは19世紀後半から、イギリスのポロ競技の選手が休憩中に着用していたコートがアメリカで人気となり、ポロコートとして広まりました。
本来ならポロコートはキャメル生地(ラクダの毛を用いた生地)のものを指しますが、現在ではアルスターコートとポロコートの違いがほとんどなく、呼び名が逆になっていることも多いので、同じコートと考えてよいでしょう。
デザインはダブルで襟があるのでダブルのチェスターコートによく似ています。
しかし、上襟が下襟よりも広く大きく、丸みを帯びているものが多いのが特徴です。
その他、袖が折り返しとなっているターンナップカフや、バックベルト、後ろ身頃のプリーツ、ウエストの絞りなどが特有のディテールとなっています。
チェスターコートと比べて流通量が少なく、大人っぽい上品さが魅力のクラシックコートなので、人と差をつけたい人におすすめです。
チェスターコート(チェスターフィールドコート)
チェスターコートは18世紀、グレートブリテン王国で活躍した政治家・第4代チェスターフィールド伯爵が着ていたコートが由来とされています。チェスターコートの襟や前合わせは、スーツのジャケットと同じように、ノッチドラペル・ピークドラペル、シングル・ダブルなどの種類があり、胸元の箱ポケットや、両脇のフラップ付きポケットがあるのが特徴です。
ウエストがやや絞られたドレッシーなドレスチェスターと、絞られていない箱型のサックスチェスターがあります。
またゴージライン(上襟と下襟の間の縫い目)は、高めであるほどフォーマルな印象に。
素材は保温性に優れたウールを使ったメルトン生地のものがおすすめです。
暖かさの反面、厚みが出る印象がありますが、開いた胸元に添えるマフラーやストールなどの色使いによって、様々なコーディネートが楽しめます。
ステンカラーコート
ステンカラーコートは、「スタンドフォールカラーコート」「バルマカーンコート」「バルカラーコート」とも呼ばれる、日本で最もポピュラーなコートです。シンプルなAラインと折返し襟のほか、袖の縫い目が襟ぐりから始まっているラグランスリーブで肩や脇に余裕があり、スーツにシワがつきにくいのが特徴です。
生地は薄いギャバジンコットンが一般的ですが、冬用の素材や防水・防湿加工のある生地を使ったもの、内側がライナー等の機能性の高いものなど種類は豊富です。
デザインも、普通肩のセットインスリーブで男らしいシルエットのものも採用されています。
一方、ラグランスリーブはなで肩を強調してしまうので、なで肩の人はセットインスリーブを選ぶのがおすすめ。
襟は後部が高く前襟は低く折り返しますが、防寒のために立てたり、一番目のボタンを開けてネクタイを見せる着こなしも可能です。
また、ボタンをすべて留めればスーツのVゾーンが見えないので、コーディネートに自信のない人や、毎日おしゃれに手間を掛けたくない人にもおすすめです。
スーツに合うビジネスマンのコートと着こなし方
次は、すでにご紹介した3種類のフォーマルコートに加え、スーツに合うコート3種類の紹介です。これらは少しカジュアルさがあるため、本格的にフォーマルな場には不向きですが、さほどフォーマルさを必要としないビジネスシーンなら問題ありません。
トレンチコート
トレンチコートは第1次世界大戦で英国陸軍が用いた防水ミリタリーコートが起源とされています。トレンチとは塹壕(ざんごう)という意味で、戦闘に役立つ様々なディテールがそのまま装飾として残されているのが特徴です。
例えば、ライフル銃の発砲の衝撃を抑える目的でつけられているガンフラップ、階級バッジをつけたり負傷兵の持ち手として使われた肩部分のベルト状エポレット、手りゅう弾や水筒をつり下げていた腰のDリングなどです。
また、使われる生地にも特徴があります。
トレンチコートに使われるギャバジンは、1879年にバーバリーの創始者が発明した生地で、防水性・撥水性・耐久性が高く着心地のよいさらっとした生地です。
薄手のため、スプリングコートやレインコートとしてもふさわしく、ベルトの結び方によっても雰囲気が変えられるなどコーディネートも楽しめます。
タイロッケンコート/ラップコート
タイロッケンコートもラップコートも、ボタンではなく紐やベルトで身頃を合わせて着るコートを言います。ラップコートではバックルがないものもありますが、タイロッケンコートはバックル付きなのでベルトが安定し、着脱しやすくなっています。
どちらもシンプルで少し緩さが感じられるスタイルですが、上質な生地を選べば大人の余裕やエレガントさが出ておしゃれです。
ピーコート
ピーコートは19世紀末ごろからイギリス海軍の艦上用軍服として使用されたのをルーツとし、漁師にも愛用されてきたコートです。特徴は、幅広のカラー、ショート丈のダブル仕立て、アンカーマークがデザインされたボタン、防寒性の高いメルトン生地、手を温めやすい縦に切れ込みの入ったマフポケットなどです。
丈が短いので、ジャケットの裾がはみ出さないか必ずチェックしましょう。
カジュアルなビジネスマンのコートと着こなし方
続いて、カジュアルなコートの紹介です。スーツには合わせにくいけど、オフィスカジュアルでのジャケパンスタイルには合わせられるコート5種類です。
キルティングコート
キルティングコートは、中綿の入った布をステッチで縫い付けたキルティング生地で作られたコートです。ハンティング時の乗馬用に着用されていたジャケットで、素材は化学繊維が主流なので、軽く、比較的安価です。
また、ひし形のダイヤモンドステッチやスナップボタン、美しいシルエットが特徴です。
ダウンコート
ダウンコートはコートの中でも特に防寒性の高いアイテム。水鳥の胸部分の羽根と羽根の間に生えている丸い球状になった綿毛(ダウンボール)が保温材となるためです。
ビジネスシーンでは、できるだけシルエットのすっきりしたものを選びましょう。
ダッフルコート
ダッフルコートは、19世紀前半、北欧の漁師が着用していたことを起源とします。その後第2次世界大戦時に英国海軍が採用し、戦後大量に出回ったことで一般化されました。
手袋をしたままでも着脱が簡単な、トグルと呼ばれる「浮き」の形をした木製の留め具と麻のループ紐が特徴でしたが、最近ではトグルに動物の角を使ったり、紐に革を使ったものも多くあります。
フード付きでよく学生が着ていることから、幼いイメージや優しいイメージがありますが、上質な素材を選べばビジネスマンでも着こなせます。
モッズコート
モッズコートのルーツは1950年代にアメリカ陸軍で採用されたフィールドジャケットM-51。その後1960年代のロンドンで、若い労働者達(モッズ)の間で愛用されていたM-51をモッズコートと呼び始め、人気ファッションアイテムとなりました。
特徴は後ろの裾丈が長いフィッシュテール、ファー付きのフード、オリーブグリーンのカラーなど。
カジュアルな印象が強いのは否めませんので、せめてゆったりしすぎないジャストサイズのものを選びましょう。
フィールドコート
フィールドコートの代表とも言えるのは、アメリカ軍がM-51の後に採用したM-65モデル。フィールドジャケットと呼ばれることも多いこのコートは、野戦用のジャケットとして湾岸戦争やベトナム戦争で用いられました。
ジッパーの上にボタンを留める仕様や、フロントにある4つのポケット、襟部分に収納できるフードなどが特徴です。
丈の長さもメーカーにより色々ありますので、コーディネートにあったものを選びましょう。
ビジネスコートの着回し
ビジネスマンは、仕事用のコートとプライベートのコートを使い分けているのでしょうか?また、秋春用の薄手のコートと冬用のコートの使い分けはどのようにしているのでしょうか?
ビジネスコートは、休日でもおしゃれに着回せる
ビジカジが広く受け入れられるようになったからでしょうか、ミニマリストの風潮が影響しているからでしょうか。近年ではスーツ姿のビジネスマンでさえ、フォーマルコートではなく、ダウンコートやフィールドコートを着ている人を多く見かけます。
コートを買うなら休日でも使えるものを、と思ってしまうのはわかりますが、やはりチェスターコートなどのフォーマルコートは、ビジネスマンのスマートさを際立たせてくれます。
視点を変えて、休日でも着回せるきっちり目のコートを選ぶのはどうでしょう?
実は、フォーマルすぎてカジュアルな装いには合わせにくいと思われがちなコートこそ、優秀なおしゃれアイテムになります。
例えば、パーカーやダメージジーンズ、スニーカーなどと合わせて羽織ると、同じコートとは思えないほど違った印象に。
フォーマルコートの出番はあまりないと思わず、コーディネートを楽しむのもよいものですよ。
秋から春まで着回せるコートとは
フェルトのような毛織物であるメルトン生地のコートは、厚手なので最高気温が13度を下回るような冬にしか着ることができません。そのため、秋や春で少し肌寒いような季節にはギャバジン素材のコートで乗りきるのが一般的です。
このように冬用と秋春用のコートを使い分けるのが理想ではありますが、秋から春まで着回せるコートもあります。
それは、表地はギャバジンや化繊などのステンコートやトレンチコートで、裏に着脱可能な中綿ライナーがついているもの。
寒い冬にはライナーを付けると暖かくなるので、かなり長い期間着回すことができますよ。
ただし、真冬のフォーマルシーンには使えませんのでご注意を。
ビジネスコートのお手入れについて
質のよいコートはやはりそれなりのお値段がします。しかし、トレンドに左右されないビジネスコートは、よいものを長く着てコスパを上げるのもよいですね。
ここではビジネスコートを長持ちさせるお手入れ方法についてご紹介します。
着用後は柔らかいブラシでブラッシングする
着用後はハンガーに吊るし、柔らかいブラシで優しくブラッシングします。特に、襟や袖口など、肌が直接当たる部分は汚れが付きやすいので忘れずに。
<ブラッシングのメリット>
・汚れやホコリを取り除くことで、シミや臭いを防ぐ
・毛の絡まりをほぐし、毛玉を防ぐ
・摩擦や圧力でつぶれた表面の繊維を立ち上げ、テカリを防止する
<ブラッシングの手順>
1. 毛の流れに逆らうように払い、繊維間の汚れなどを掻き出す。
2. 毛の流れに沿って毛並みを整える。
ブラシは、ウール素材にはコシの強い豚毛の洋服ブラシがおすすめです。
繊維の隙間にも入り込んできれいにしますが、力を入れすぎると生地を傷めてしまうので気をつけましょう。
なお、もっとデリケートな素材には、柔らかい馬毛のブラシがおすすめです。
化学繊維のブラシは静電気を起こしやすいので、天然素材がよいでしょう。
厚みのあるハンガーを使う
コートを吊るすハンガーは、コートのサイズにぴったりで厚みのあるものを使います。肩幅が合っていないと型崩れの原因になりますので、サイズチェックは重要です。
洗濯はあまり頻繁に行わない
毎日使うものなので汚れが気になるかもしれませんが、頻繁な洗濯は生地を傷め型崩れの原因になります。大きなシミや気になる汚れができてしまった場合を除き、クリーニングはシーズンが終わった後で問題ありません。
長期保管は通気性の良い場所で
クリーニングが終わり長期保管する際には、以下の点に気をつけます。・ビニールから出し、不織布や収納カバーを使う
・通気性のことを考え、またシワ防止のためにも、クローゼットは一杯にしない
・時々換気を行う
コートの長期保管時には、空気の流れをよくしてカビが生えないようにすることが何より大切です。
十分なスペースがない場合、クリーニング店などにコート預かりのオプションもあるので、利用するのもおすすめです。
ビジネスマンのコートの扱い方マナー
最後に、ビジネスマンのコートの扱い方マナーについてもご紹介します。コートを脱ぐタイミング
コートを脱ぐタイミングは、訪問企業の建物に入る前です。悪天候などで外で脱げなかった場合でも、受付で名乗る前には脱いでおきます。
集合ビルなどでは、訪問企業との接触がない1階の片隅で脱いでも構いません。
コートのたたみ方
脱いだコートは、表面についたホコリなどを持ち込まないように、裏返しにたたむのがマナーです。外で脱いだ場合は、その場でコートを軽く叩いたりして、汚れを落としておきます。
また、裏返しにたたんでおけば、持ち運んでいる最中に表面が汚れるのを防げます。
<たたみ方の手順>
1. コートの前面を自分の方に向ける
2. コートの右肩に内側から左手を入れて固定する
3. 裏表になるようくるりと返し、コートの左肩を重ねる
4. 襟の中心をつまんで身頃を整え、重ね合わせる
5. 二つ折りにして腕にかけて運ぶ
コートの置き場所
商談時には、コートはたたんで自分の鞄の上に置きます。鞄の中身を取り出すなど、コートが邪魔になるようなら、自分の隣や膝の上に畳んで置いておいても構いません。
勝手に訪問先のコート掛けを使ったり、椅子の背もたれに掛けるのはマナー違反ですので気をつけましょう。
まとめ
ビジネスマンのコートについて述べてきました。ビジネスマンがコートを選ぶ時は、ジャストサイズ・シンプルで落ち着いたカラーのものを選び、フォーマル度にも気をつけます。
フォーマル度の高いコートには、
・アルスターコート/ポロコート
・チェスターコート
・ステンカラーコート
があり、ビジネスシーンでスーツに合うコートには他に、
・トレンチコート
・タイロッケンコート/ラップコート
・ピーコート
があります。
また、ビジネスカジュアルには
・キルティングコート
・ダウンコート
・ダッフルコート
・モッズコート
・フィールドコート
などのカジュアルなコートを用いてもよいでしょう。
コートのお手入れや扱いのマナーについても触れましたので、あわせて参考にしていただき、自分にぴったりなコートを見つけてくださいね。