革の色落ち・色移りについて
TRANSICへ寄せられるお問い合わせのなかに、「色落ち」や「色移り」に関するものがあります。
とくに多いのが梅雨時期や、夏場の気温が高い時期。
なかには、「シャツに革カバンの色がついてしまった」などのお声が寄せられることもあります。
さまざまな使い方や環境下において、革の色落ちや色移りを完全に防ぐことはできません。
しかし、革は使い勝手がよく魅力的な素材のため、特性を理解して長く付き合いたいもの。
そこでこちらのページでは、革の色落ちや色移りが起こる理由や対策方法について紹介します。
革は高温に弱い素材のため、低温で染色するのが一般的。
しかし低温で染色すると繊維に色が定着しづらく、さらに染色後に加えられる「加脂剤」には染料の結合を弱めてしまう作用があります。
※加脂剤・・革を柔らかくする油剤
染料の結合が弱いことで、衣類との摩擦や雨・汗などの水分、湿度などによって色落ち・色移りしやすくなるのです。
色落ちや色移りを軽減する表面加工もありますが、せっかくの革の風合いが活かせなくなってしまいます。
たとえば、TRANSIC製品の「イタリア本革 ビジネスバッグ」や「本革 ビジネスバッグ」に使われている植物タンニンなめしの革。
上質で革本来の風合いが楽しめることで人気ですが、これは表面加工が最小限に留められているからこそ味わえるものです。
このような革は「ナチュラルゆえに色落ちしやすい」という特性を理解したうえで、使い方やメンテナンスによる対策が重要となります。
スエードは、仔牛などのやわらかい革の裏面の毛を起こしたものです。
起毛させているため、色止め剤が毛の内側に入って行きづらく表面に留まるため、色落ちが起きやすくなります。
使い始めの新しい状態の方が色落ちしやすく、使い込んでいくうちに色落ちが起こりにくくなります。
起毛部分が少なくなってきたり、ぺったりすることによって色が革に馴染んでいくためです。
スエードは摩擦によって色が移る場合もあるので、元々色落ちのしやすい素材であることを念頭に商品を選ぶ際の参考にしてください。
オイルレザーは、たっぷりとオイルを含んでいるため革製品が触れた場所にオイルが付きやすく、その際に色が移りやすくなります。
革に油分が多く含まれていればいるほどそのリスクは高くなるため、取り扱いには気を付けたいポイントです。
雨や汗などで濡れてしまった場合は、特に色落ち・色移りのリスクが高まります。
革にとって、水濡れは厳禁。
カレーなどを食べるとき、服に付かないように気をつけて食べますよね。
服が汚れてシミにならなように、ちょっと気に掛けるということが多いのではないでしょうか。
革への気遣いもそれと同じです。
正しいメンテナンスと取り扱い方で、革の色落ち・色移りのリスクは減らすことができます。
大切な衣類を汚さないためにも、以下のポイントを意識してみてください。
そのため防水・撥水加工されている革でなければ、雨の日の使用は避ける方がよいでしょう。
また、気付かないうちに汗が革に染み込んでしまい、色落ちや色移りすることも少なくありません。
とくに夏場の暑い日、汗をかいた状態で革のショルダーバッグやリュックを持つと、摩擦によってシャツに色が移ることも。
ただし、着用方法によっては摩擦を避けられないこともあるため、濃い色の革カバンを持つときは、薄い色の衣類を避けるのがベターです。
職場や車内、さらには自宅でも、エアコンのない場所では高温になってしまうこともありますよね。
しかし、
これらは、革の色落ち・色移りを促進させてしまいます。
使用時以外でも、高温多湿での保管は避けるなどの配慮は欠かせません。
なかでもフッ素系の防水スプレーは、通気性を保ちつつ繊維をコーティングしてくれます。
防水スプレーで完全に色落ちを防げるわけではありませんが、表面をコーティングすることで、ある程度の水分を弾けるようになります。
さらに、チリやホコリなどの汚れから守るという嬉しい効果も。
もし防水スプレーを使っていない方は、以下の記事を参考に使用を検討してみてください。
◆知らないと危険!バッグの「防水スプレー」正しい使い方とは?
これは、「高品質な製品だけをお客様にお届けしたい」という品質管理の観点から実施しているものです。
革は自然素材のため、どうしても個体差が生じてしまいます。
また、同じ1枚の革の中でも、使用する部位によって強弱が異なる点も考慮しなければなりません。
だからこそTRANSIC製品に使用する革は、加工前に以下のようなテストを実施して品質をチェックしています。
◆革とアルコールの相性
TRANSICで設けている品質管理の工程は多くあり、問題のある革や部位は製品に使用しないよう徹底しています。
このように管理を徹底していても、革の種類や使用状況、保管環境によってご使用時の色落ちや色移りを完全に避けることはできません。
そのため、前章で紹介したような対策を心がけていただき、色落ち・色移りのリスクを減らすことも大切だと考えています。
たとえ同じ製品でも、使う人や使い方が違えば、変化の仕方も異なります。
その意味では、色落ちや色移りという特性もまた、革の魅力の1つといえるのではないでしょうか。
たしかに、革は他の素材よりも気を遣う素材かもしれません。
クリームを使ったメンテナンスやカビ対策、防水対策など、手間がかかる素材であることは間違いないでしょう。
しかし、正しく手入れすれば数年、数十年と長くお使いいただけるのも事実です。
革という素材への理解を深めたうえで使用するアイテムを選び、変化を楽しみつつ上手に付き合っていただければ幸いです。
とくに多いのが梅雨時期や、夏場の気温が高い時期。
なかには、「シャツに革カバンの色がついてしまった」などのお声が寄せられることもあります。
さまざまな使い方や環境下において、革の色落ちや色移りを完全に防ぐことはできません。
しかし、革は使い勝手がよく魅力的な素材のため、特性を理解して長く付き合いたいもの。
そこでこちらのページでは、革の色落ちや色移りが起こる理由や対策方法について紹介します。
革の色落ちや色移りが起こる理由
私たちが目にする革製品に使われている革は、「染料」や「顔料」を使って色付けされています。革は高温に弱い素材のため、低温で染色するのが一般的。
しかし低温で染色すると繊維に色が定着しづらく、さらに染色後に加えられる「加脂剤」には染料の結合を弱めてしまう作用があります。
※加脂剤・・革を柔らかくする油剤
染料の結合が弱いことで、衣類との摩擦や雨・汗などの水分、湿度などによって色落ち・色移りしやすくなるのです。
色落ちや色移りを軽減する表面加工もありますが、せっかくの革の風合いが活かせなくなってしまいます。
たとえば、TRANSIC製品の「イタリア本革 ビジネスバッグ」や「本革 ビジネスバッグ」に使われている植物タンニンなめしの革。
上質で革本来の風合いが楽しめることで人気ですが、これは表面加工が最小限に留められているからこそ味わえるものです。
このような革は「ナチュラルゆえに色落ちしやすい」という特性を理解したうえで、使い方やメンテナンスによる対策が重要となります。
特に注意が必要な革
染料や顔料を使って色付けされた本革はどれも色落ち・色移りが起こる可能性がありますが、中でもスエードとオイルレザーはより注意が必要です。スエードは、仔牛などのやわらかい革の裏面の毛を起こしたものです。
起毛させているため、色止め剤が毛の内側に入って行きづらく表面に留まるため、色落ちが起きやすくなります。
使い始めの新しい状態の方が色落ちしやすく、使い込んでいくうちに色落ちが起こりにくくなります。
起毛部分が少なくなってきたり、ぺったりすることによって色が革に馴染んでいくためです。
スエードは摩擦によって色が移る場合もあるので、元々色落ちのしやすい素材であることを念頭に商品を選ぶ際の参考にしてください。
オイルレザーは、たっぷりとオイルを含んでいるため革製品が触れた場所にオイルが付きやすく、その際に色が移りやすくなります。
革に油分が多く含まれていればいるほどそのリスクは高くなるため、取り扱いには気を付けたいポイントです。
雨や汗などで濡れてしまった場合は、特に色落ち・色移りのリスクが高まります。
革にとって、水濡れは厳禁。
カレーなどを食べるとき、服に付かないように気をつけて食べますよね。
服が汚れてシミにならなように、ちょっと気に掛けるということが多いのではないでしょうか。
革への気遣いもそれと同じです。
正しいメンテナンスと取り扱い方で、革の色落ち・色移りのリスクは減らすことができます。
革の色落ちや色移りを防止するには
革の色落ちや色移りを防ぐには、いくつかの注意点があります。大切な衣類を汚さないためにも、以下のポイントを意識してみてください。
【水に濡らさない】
革製品を水に濡らすと、色落ちや色移りだけでなく、シミ、水ぶくれの原因になります。そのため防水・撥水加工されている革でなければ、雨の日の使用は避ける方がよいでしょう。
また、気付かないうちに汗が革に染み込んでしまい、色落ちや色移りすることも少なくありません。
とくに夏場の暑い日、汗をかいた状態で革のショルダーバッグやリュックを持つと、摩擦によってシャツに色が移ることも。
ただし、着用方法によっては摩擦を避けられないこともあるため、濃い色の革カバンを持つときは、薄い色の衣類を避けるのがベターです。
【高温多湿になる場所に置かない】
近年、日本の夏はとても暑くなります。職場や車内、さらには自宅でも、エアコンのない場所では高温になってしまうこともありますよね。
しかし、
- 高温になる場所に長時間置いていた
- 湿度の高い場所で長期間保管していた
これらは、革の色落ち・色移りを促進させてしまいます。
使用時以外でも、高温多湿での保管は避けるなどの配慮は欠かせません。
【防水スプレーを使用する】
革専用の防水スプレーが各メーカーから販売されています。なかでもフッ素系の防水スプレーは、通気性を保ちつつ繊維をコーティングしてくれます。
防水スプレーで完全に色落ちを防げるわけではありませんが、表面をコーティングすることで、ある程度の水分を弾けるようになります。
さらに、チリやホコリなどの汚れから守るという嬉しい効果も。
もし防水スプレーを使っていない方は、以下の記事を参考に使用を検討してみてください。
◆知らないと危険!バッグの「防水スプレー」正しい使い方とは?
TRANSICで実施している色落ち・堅牢度テストについて
TRANSICでは、革が工場に到着したタイミングで『抜き取り検査』をおこなっています。これは、「高品質な製品だけをお客様にお届けしたい」という品質管理の観点から実施しているものです。
革は自然素材のため、どうしても個体差が生じてしまいます。
また、同じ1枚の革の中でも、使用する部位によって強弱が異なる点も考慮しなければなりません。
だからこそTRANSIC製品に使用する革は、加工前に以下のようなテストを実施して品質をチェックしています。
- 色差・・ロットごとの色の差
- 剥離強度・・繊維や塗膜の剥がれ強度
- 堅牢度・・摩擦が起きた時の色落ち度合い
◆革とアルコールの相性
TRANSICで設けている品質管理の工程は多くあり、問題のある革や部位は製品に使用しないよう徹底しています。
このように管理を徹底していても、革の種類や使用状況、保管環境によってご使用時の色落ちや色移りを完全に避けることはできません。
そのため、前章で紹介したような対策を心がけていただき、色落ち・色移りのリスクを減らすことも大切だと考えています。
革の魅力は『経年変化』にある
革は、まるで「共に過ごしてきた時間」を刻むように経年変化します。たとえ同じ製品でも、使う人や使い方が違えば、変化の仕方も異なります。
その意味では、色落ちや色移りという特性もまた、革の魅力の1つといえるのではないでしょうか。
たしかに、革は他の素材よりも気を遣う素材かもしれません。
クリームを使ったメンテナンスやカビ対策、防水対策など、手間がかかる素材であることは間違いないでしょう。
しかし、正しく手入れすれば数年、数十年と長くお使いいただけるのも事実です。
革という素材への理解を深めたうえで使用するアイテムを選び、変化を楽しみつつ上手に付き合っていただければ幸いです。