なんとかしたいキャンバス地の黄ばみ!原因や効果的な落とし方を紹介
でも、使っているうちに必ず気になってくるのが、黄ばみやシミ。
「特に汚しているつもりはないのに全体的に黄ばんできた」
「ちょっと濡れただけで黄色いシミになった」
「洗濯したのにちっとも白くならない」
といった悩みをお持ちなら、ぜひ以下をお読みください。
キャンバス地の黄ばみの原因、効果的な黄ばみのとり方、黄ばみを防ぐ方法まで丁寧に解説しています。
キャンバス地には黄ばみが起こりやすい?
キャンバス地によく見られる黄ばみ。やはり、キャンバス地には黄ばみが起こりやすいのでしょうか?
シンプルなトートバッグ、学校の上履きなど、キャンバス地を使っているものにはオフホワイトやアイボリーが多く、黄ばみが目立ちやすいと言うのもひとつの理由ではあります。
また、生地の構造も関係してきます。
キャンバス地とは?
キャンバス地は帆布(はんぷ)とも言い、船の帆として作られたのがはじまりです。綿や麻で織られた平織りの厚手生地で、丈夫で通気性は高いが水を通しにくいという特徴があります。
キャンバス地は汚れやすい?
キャンバス地は糸がより合わさり織り目がつまっているので、ホコリや汚れが織り目に溜まりやすいという性質があります。さらにキャンバス地の生地は厚く、長期間汚れを放置しておくと、生地の奥まで入り込んでしまい、そうなった汚れはなかなか簡単には取れません。
キャンバス地が汚れやすい、黄ばみやすいというのは、そういった理由があるのです。
黄ばみではなく経年変化の場合も
キャンバス地は汚れやホコリが原因の黄ばみが起こることもあります。しかし草木染めのキャンバス地バッグなどでは、色の変化を経年変化として楽しむものもあります。
ベジタブルタンニンで染められたキャンバス地は、時間とともに色が褪せるのではなく深みが増していくのが魅力です。
薄いベージュが黄ばんでしまったようにも見えますが、実はタンニンによって、濃い茶色へと変色しているのです。
キャンバス地の黄ばみの原因
とは言え、エイジングではない落としたい黄ばみの方が一般的ですよね。ここでは、キャンバス地が部分的・全体的な黄ばみを起こす原因について、紹介していきます。
汚れが酸化することで黄ばむ
まずは、偶然見つけた黄色いシミや、長期間の保管後に見られるムラのある黄ばみ。これは、キャンバス地についた汚れが酸化して、時間とともに黄ばみとして現れてきたものです。
汚れは、飲み物・食べ物などの色素・糖分・油分、手垢や汗に含まれる塩分や皮脂など、どんなものでも黄ばみの原因になります。
「きれいに拭き取った」「ちゃんと洗濯した」と思っていても実は汚れが残っていて、時間が経ってから黄ばみが出ることもあります。
高温多湿だとより酸化が進むので、当分使う予定のないキャンバス地のアイテムは、「ビニールに入れて保管しない」「除湿剤を使う」などに気をつけるとよいでしょう。
ホコリの蓄積で全体的に黄ばむ
真っ白だったキャンバストートが全体的に黄ばんできた、というような場合は、生地に蓄積したホコリが原因です。表面についたホコリを放っておくと織り目に入り込み、徐々に生地を黄変させます。
湿気が高いとよりホコリを吸着してしまうので、キャンバス地は常に風通しのよいところにおくことも大事です。
生地に残ったアルカリ性洗剤が紫外線に反応して黄変する
「きれいに洗ったつもりのキャンバススニーカーが、前より暗い色になってしまった」洗濯後に黄ばんで見えるのは、キャンバス地に残った洗剤が紫外線と反応したのが原因です。
一般的に洗濯洗剤はアルカリ性洗剤ですが、この洗剤が残っていると黄変してしまいます。
洗濯後によくすすいで洗剤を残さないようにする、酢やクエン酸など酸性の物質を使ってアルカリ性を中和させることが大切です。
生成りの生地は濡れると黄系・茶系のシミを作る
また、無漂白の糸を用いた生成りのキャンバス地では、濡れると黄ばみが見られることがあります。黄色や茶色のシミのような黄ばみですが、これは濡れた時に水分とともに表面に移動した生成りの色素が、水分乾燥時に残ったものです。
細い糸より太い糸のキャンバス地の方が起こりやすい現象です。
色素は水分とともに簡単に移動するので、洗濯を繰り返すとなくなります。
革などの異素材から色素がにじみ出ることも
キャンバス地のバッグには以下のように、異なる素材の組み合わせがおしゃれなものが多くあります。しかし、キャンバス地に革など異素材のものが使われている場合や、隣により濃い色ものが使われている場合などは、濡れると色移りのリスクがあることを知っているとよいでしょう。
摩擦によってデニムパンツからキャンバストートへ青い色素がついてしまうように、密着した革部分から茶色い色素がにじみ出て、黄ばみを作ってしまうこともあります。
キャンバス地の部分的な黄ばみの落とし方
革や金具を使ったものやラメやプリントの加工があるものなど、キャンバス地を使ったアイテムには洗濯が不可能なものもあります。それでも黄ばみを落としたいという場合は、中性洗剤を使って部分的に拭き取るように手入れしていきましょう。
部分的に黄ばみを落とす手順
部分的な黄ばみ落としに必要なのは以下の3点です。
・少量のぬるま湯(30℃程度)で薄めた中性洗剤
・歯ブラシか柔らかい布
・ぬるま湯で濡らしたタオル
<洗濯できない場合の部分的な黄ばみ落としの手順>
1. 歯ブラシか柔らかい布に薄めた中性洗剤を含ませる
2. 気になる黄ばみ部分を軽くこすって汚れを落とす
3. 濡れタオルで洗剤を拭き取る
4. 風通しのよい場所に陰干しする
中性洗剤はデリケートな素材にも影響が少ないので安心して使えますが、洗浄力は低くなります。
中性洗剤で落ちない黄ばみには固形石鹸(アルカリ性)を使ってもよいですが、紫外線による黄ばみのリスクもあるため注意が必要です。
専門クリーニングに依頼した方がよい場合
それでも落ちない黄ばみ(洗濯できない場合)は、キャンバス生地専門もしくは鞄・靴専門のクリーニングに依頼した方がよいでしょう。クリーニング店では特殊漂白を行って、時間が経って酸化してしまった黄ばみや色移り、鉄分による汚れなどにも対応してくれます。
革や金属などが使われている場合、色落ちが心配な場合、タンニン染めのキャンバス地などは迷わず依頼した方が安心です。
丸洗い可能なキャンバス地の黄ばみの落とし方(基本編)
普段使いのキャンバストートやスニーカーなどは丸洗いが可能なものも多いでしょう。黄ばみがあっても洗って落としやすいので使い勝手がよいですが、洗濯を繰り返すと色合いや柔らかさが変化します。
表面のパラフィン加工や糊付けがとれてくったりしたり、色が褪せたりしてしまうのです。
しかし、それも風合いの変化として楽しむ考え方もありますよ。
黄ばみを落とすための基本的な洗濯の手順
それでは黄ばみを落とすための洗濯の仕方を紹介します。
用意するものは以下の6点です。
・ブラシ
・ぬるま湯を入れた洗濯桶
・中性洗剤
・固形石鹸
・歯ブラシ
・タオル
<黄ばみ落としのための洗濯の手順>
1. まずはブラッシングで表面の汚れを取る
2. 洗濯桶にぬるま湯を張り、中性洗剤を混ぜておく
3. 黄ばみが目立つ部分には固形石鹸を塗り込む
4. 30分ぐらいつけ置きし、黄ばみ部分を歯ブラシでこする
5. 全体を優しく押し洗い&すすぎを繰り返す
6. 十分にすすぎ終わったら軽くしぼり、乾いたタオルで水分を拭き取る
7. シワを伸ばし、形を整えて風通しのよいところに陰干しする
丸洗い可能なものは、「押し洗い&すすぎ」に洗濯機の「手洗いコース」や「ドライコース」を使ってもよいです。
しかし、手洗いの方がキャンバス地への負担が少なくおすすめです。
また、キャンバス地は乾いてしまうとシワや歪みをアイロンで伸ばすのは難しいため、脱水機は使わず水分は拭き取るようにしましょう。
ガンコな油汚れが原因のキャンバス地黄ばみを落とす方法(応用編)
このように洗濯してもやはり黄ばみが落ちなかった、という場合は、ガンコな油汚れが原因であることが多いです。生地に優しい中性洗剤よりアルカリ性の洗濯用洗剤の方が油汚れに強いので、試してみましょう。
洗濯用洗剤と重曹を一緒に使うと汚れが落ちやすい
油で汚れた台所のお掃除に活躍する重曹ですが、キャンバス地についた油汚れの分解も得意です。皮脂や食べこぼしが原因の黄ばみなら、洗濯用洗剤と重曹をダブルで使うとさらに効果アップ。
普通に洗濯しても落ちない黄ばみは次の手順を試してみましょう。
重曹を使った黄ばみ取りの手順
用意するものは以下の5点です。
・重曹
・洗濯用洗剤(粉末の方が洗浄力がある)
・40℃のお湯を入れた洗濯桶
・歯ブラシ
・タオル
<油汚れが原因の黄ばみを落とす手順>
1. 40℃程度のお湯に洗剤と重曹を混ぜて洗濯液を用意する
(お湯の量に必要な洗剤量を半分にし、残り半分は重曹を入れる)
2. 1時間つけおき、まだ汚れがあれば重曹ペーストを塗りつけて歯ブラシでこする
3. きれいになったら洗剤と重曹をよく洗い流す
4. 十分にすすぎ終わったら軽くしぼり、乾いたタオルで水分を拭き取る
5. シワを伸ばし、形を整えて風通しのよいところに陰干しする
重曹ペーストはお湯と重曹を1 : 1で混ぜて作ります。
キャンバス地の黄ばみを落とす際の注意点
3種類の黄ばみ落としの方法について紹介してきましたが、正しい手入れ・洗濯をしないと逆にキャンバス地をダメにしてしまうこともあります。キャンバス地の黄ばみ落としで注意すべきことをまとめてみました。
黄ばみに気づいたらすぐに対処する
汚れたらすぐに現れるシミと違い、黄ばみは汚れ・ホコリが時間をかけて酸化し現れたものです。つまり、黄ばみに気づいた時には汚れからかなり時間が経っていることも。
さらに黄ばみを取り除かないでいると、どんどん進行して濃い色へと変化し、より落としにくくなっていきます。
黄ばみに気づいたら、できるだけ早く対処するようにしましょう。
こすりすぎは生地の劣化や傷になる
キャンバス地は汚れが織り目に入り込む事が多いので、ブラシでの汚れ落としは非常に効果的です。しかし、黄ばみが取れないからと言って強くこすると、いくら丈夫なキャンバスでも劣化の原因になったり傷をつけたりしてしまいます。
できるだけ力を入れず丁寧に扱い、どうしても取れない黄ばみはこすらず漂白したり、プロに依頼して対処しましょう。
色柄物の黄ばみ落としは色落ちに注意する
中性洗剤は色落ちしにくいので色柄物のキャンバス地にも安心ですが、皮脂汚れには弱く黄ばみを十分に落とせないことも。
一方で黄ばみをとるために洗浄力の強い洗剤を使うと、今度は色落ちや色移りの心配があります。
一般にキャンバス地に使われる天然素材の綿や麻は色落ちしやすく、濃い色も染料が水に溶けだしやすいので、初めて洗濯する時には必ず色落ちチェックをしましょう。
<色落ちチェックの方法>
1. 洗剤を溶かした水を綿棒か白い布につける
2. それで色柄がついている目立たない箇所を軽くこすってみる
3. 綿棒や白い布に色がついたら、色落ちしやすいと判断する
色落ちしやすいキャンバス地の黄ばみ落としは、クリーニングに依頼しましょう。
蛍光増白剤入り洗剤は避けたほうがよい
一般的な合成洗剤には、蛍光増白剤(蛍光剤)が入っていることがあります。白い洗濯物をより白く見せるために入れられた染料の一種で、青味の光を反射させます。
天然素材の風合いを楽しめる生成りの綿や麻のキャンバス生地に使うと、蛍光増白剤で染まって色抜けしたり、ムラ付きしてしまうことがあり、こうなるとせっかくの風合いを損ねてしまいます。
真っ白なキャンバス地でないなら、蛍光増白剤入り洗剤は避けた方が無難です。
洗濯を繰り返すことによる劣化・風合いの変化に注意
また、洗濯を繰り返すことによって、キャンバス地の持ち味とも言えるパラフィン・撥水・のりなどの加工が取れてしまうことも心に留めておきましょう。それ以外にも「色褪せ」や「縮み」を避けることはできません。
劣化とも風合いの変化とも言えますが、こういった変化を望まないのであれば、できるだけ洗濯をしなくても済むようきれいに扱い、日々のお手入れを怠らないようにしましょう。
洗濯後、紫外線による黄ばみに注意
すすぎにくいキャンバス地のスニーカーなどによくあることですが、すすぎ残しのアルカリ性洗剤が紫外線と反応して黄ばみを起こすことがあります。
これを避けるにはアルカリ性洗剤ではなく中性洗剤で洗濯するか、洗濯すすぎ後に酢やクエン酸などの酸性の物質を用いてアルカリ性を中和させると白さが戻ります。
<紫外線が原因のキャンバス地黄ばみを落とす方法>
1. 酢もしくはクエン酸入りのつけ置き液を用意する
2. 洗ってすすいだキャンバス地を2,3時間つけておく
3. よくすすいだ後、タオルで水気を取り乾燥させる
つけ置き液は、水を溜めた洗濯桶に200mlのお酢か、クエン酸大さじ2杯を入れることで作れます。
キャンバス地の黄ばみは漂白できるの?
洗濯などの黄ばみ落としで取れなかったキャンバス地の黄ばみは、漂白で取れることもあります。漂白とは?
漂白とは、繊維に染み付いた汚れの色素を化学反応で脱色することです。洗剤や石鹸は界面活性剤などの力を使って繊維から汚れを取り除くのに対して、汚れというより色素を分解させるのが漂白です。
漂白には、色柄ものの漂白にも使える「酸素系漂白剤」や、白ものの漂白しかできない「塩素系漂白剤」「還元型漂白剤」があります。
洗濯表示記号で漂白できるか確認しよう
それぞれのキャンバス地アイテムによって、どんな漂白ができるか異なります。洗濯表示記号で漂白可能か確認しましょう。
引用元 : 消費者庁公式リーフレット
オキシクリーンなど酸素系漂白剤のいろいろ
キャンバス地の漂白では、色柄ものにも使え、漂白効果もおだやかな酸素系漂白剤がおすすめ。浸け置きだけで汚れが落ちると人気の「オキシクリーン」も酸素系漂白剤です。
酸素系漂白剤には他に「シャボン玉酸素系漂白剤」「ワイドハイターEXパワー」「ブライトW 漂白パワージェル」などがあります。
重曹と混ぜて使うとより効果的ですよ。
キャンバス地の漂白の仕方
以下のものを用意します。
・オキシクリーン(酸素系漂白剤)
・重曹
・40~60°のお湯を入れた洗濯桶
・歯ブラシ
・タオル
<酸素系漂白剤を使ったキャンバス地の黄ばみ漂白の手順>
1. 洗濯表示記号をチェックする
2. 洗濯桶に4リットルのお湯とオキシクリーン30gを入れる
※重曹10gを加えても良い
3. キャンバス地を20分以上浸け置きする
4. まだ汚れがあるようなら歯ブラシでこすり洗いをする
5. よくすすぎ、軽く絞った後タオルで水分を拭き取る
6. シワを伸ばして形を整え、風通しのよいところで陰干しする
キャンバス地の黄ばみを防ぐためにできること
洗濯や漂白という黄ばみ落としの作業は面倒なもの。キャンバス地を傷つけてしまうというデメリットもあります。
やはり黄ばみを作らないようにすることが肝心ですよね。
そこで、キャンバス地の黄ばみを防ぐためにできることをまとめてみました。
日常的にブラッシングする
何よりも大事なのは、使うたびにブラッシングして、表面のホコリ・汚れを取り除くことです。何も汚れていないように見えるかもしれませんが、キャンバス地は厚いものも多く、細かなホコリは織り目に溜まりやすいです。
ブラッシングすることで軽いスレなどの汚れも落とすことができるので、ぜひ日常的にブラッシングしましょう。
濡れや汚れにはすぐ対処する
濡れたら輪染みになる前にすぐに拭き取る、汚れたらすぐ部分洗い・丸洗いをするなど、汚れが染み込まないうちに早く対処するようにしましょう。汚れは時間が経つほど取れにくく、黃ばみの原因になってしまいます。
大切なキャンバス地アイテムなら、定期的にクリーニングするのもおすすめです。
湿気をためないよう、風通しの良いところに保管する
また、キャンバス地は湿気があると表面のホコリ・汚れを吸着して奥に閉じ込めてしまいます。毎日使うキャンバストートでも、中身を出して風通しのよいところにかけておくのがおすすめです。
荷物を入れたまま床に置くなど、黄ばみの原因になりそうな扱いに気をつけましょう。
長期間保存する時は、きれいに洗濯・クリーニングしてから保管しますが、この時密封したビニール袋に入れるのはNGです。
湿度を高めてしまうので、黄ばみが起こりやすくなります。
通気性のよい布の袋などに入れて、除湿剤と一緒に保管しましょう。
撥水スプレー・防水スプレーをかけておく
おろしたてのキャンバスバッグなどなら撥水加工をしているものも多いですが、水分・ホコリ・汚れ防止のためにも撥水スプレー・防水スプレーをかけるのがおすすめです。雨などで濡れてしまったら、きれいに乾かした後またかけるようにしましょう。
ろうそくやベビーパウダーで保護する
防水・汚れ防止の方法としては、ろうそくを塗りつけてパラフィン加工のようにしたり、ベビーパウダーで繊維の隙間をふさいでしまう方法もあります。まとめ
キャンバス地の黄ばみについて、その原因から落とし方、黄ばみを防ぐ方法まで解説してきました。キャンバス地の黄ばみの主な原因は汚れやホコリですから、日常的に手入れ・保護をして、黄ばみを作らないようにしていきましょう。