革の種類や特徴の完全版|基礎知識や素材の魅力を動物別に解説

革製品を購入するとき「種類や特徴」について詳しく知りたいなと思ったことはありませんか。
革の種類って、名前や素材が色々あって難しいですよね。

この記事では、革の基礎知識を解説した後に、革の種類や特徴・素材の魅力を動物別に一覧にして分かりやすく紹介しています。
また、基礎知識では「革と皮の違い」「一般革と高級革の違い」や、革の製造工程である「鞣し」や「フィニッシュ(仕上げ加工)」についても詳しく解説しています。

この記事を読めば、今後は革について詳しくなり購入する際に自分の好みのものを選びやすくなるでしょう。


革の基礎知識①|革と皮の違い・一般革と高級革(エキゾチックレザー)の違い

数種類のヌメ革の画像革の基礎知識として、以下の2つについて解説します。

  • 革と皮の違い
  • 一般革と高級革(エキゾチックレザー)の違い

革と皮の違い

革と皮の違いについてですが、大まかに分けると以下の通りとなります。

  • 皮・・・動物から剥ぎ取った生の状態
  • 革・・・科学的な処理をして加工した状態
皮は、生の状態なので時間経過とともに腐敗してしまいます。

それに比べ、革は「鞣し(なめし)」と呼ばれる科学的処理をして加工するため、腐敗しない生地になります。
「鞣し」の加工方法にも数種類の手法があり、どのような「鞣し」を行うかによって革の種類が変わってきます。
※鞣し方については後述いたしますね。

一般革と高級革(エキゾチックレザー)の違い

鞣して加工された革は、大きく分けて2種類に分かれます。

  • 一般革
  • エキゾチックレザー
【一般革】
牛・馬・羊・豚などの、飼育用の動物の皮を指します。特徴は滑らかさです。
一般的にもカバンや靴など多くのものに使用され流通しています。

【エキゾチックレザー】
一般以外の革となり、希少動物から採れる皮を指します。
特徴は独特な柄で、鳥類や魚類、爬虫類など数十種類があり、高級財布やバッグに使用され流通しています。
エキゾチックレザーは一般革と比べ、価格が高いのが特徴です。
その理由に「ワシントン条約」によって捕獲制限されており「手に入れにくい希少性」がある素材とされています。

【豆知識】
エキゾチックレザーは、「ファッションのためだけに、動物を狩猟する」ことを問題視した声も多く上がっています。
そのため、近年はエキゾチックレザーの廃止を積極的に取り入れる企業も増えています。


革の基礎知識②|鞣しとは?

革の拡大画像ここでは、皮から革へと変化させる科学的な加工である「鞣し」について解説します。
鞣しによって、仕上がりも変わってきますので参考にしてください。

今回は、以下の4つの鞣し方を紹介します。
しかし、基本的には①の(ベジタブル)タンニン鞣しとクロム鞣しの2つが主流となります。

  • (ベジタブル)タンニン鞣し
  • クロム鞣し
  • アルデヒド鞣し
  • 混合(コンビネーション)鞣し

鞣し方①|(ベジタブル)タンニン鞣し

(ベジタブル)タンニン鞣しは、伝統的な鞣し方として有名です。
重量感と硬さのある仕上がりとなり、使用過程での経年変化を楽しむことができる鞣し方となります。

【鞣し方】
植物樹脂から抽出した、タンニンを鞣し剤として使用する方法

【特徴】
手間も時間もかかるために、コストが高くなります

【革の仕上がり】
  • ハリと強さを持った仕上がり
  • メンテナンスが必要だが数十年使用することが可能
  • 経年変化(エイジング)を楽しめる
  • 茶褐色の仕上がり
  • 染色を楽しめる
  • 水に弱い

鞣し方②|クロム鞣し

クロム鞣しは、最も多くの革に用いられている鞣し方です。
軽くて収縮性がある仕上がりとなり水にも強いため、普段使いしやすい革アイテムに使用されることが多い鞣し方となります。

【鞣し方】
主成分は硫酸クロムを使用して、科学的に鞣します

【特徴】
生産工程での手間や時間がかからず、製品コストを抑えることが出来ます

【革の仕上がり】
  • 水や熱に強い
  • 軽くて、柔らかい、しなやか
  • 経年変化(エイジング)は楽しめない
  • 青白い仕上がり
  • 収縮性に優れている

鞣し方③|アルデヒド鞣し

アルデヒド鞣しは、環境に優しい鞣し方として注目を浴びはじめています。

【鞣し方】
化学物質であるアルデヒド化合物を使用し、クロムを用いないのが特徴

【特徴】
生産工程での手間や時間がかかるため、コストはやや高め

【革の仕上がり】
  • 柔らかい
  • 熱に弱い

鞣し方④|混合(コンビネーション)鞣し

混合(コンビネーション)鞣しは、タンニン鞣しの様な風合いの革でありながら低コストでの生産が可能です。

【鞣し方】
タンニン鞣しとクロム鞣しを組み合わせた手法

【特徴】
タンニン鞣しとクロム鞣しのコンビネーションとなり、高価なタンニン鞣しに比べるとかなり低コスト

【革の仕上がり】
  • 経年変化(エイジング)を楽しめる
  • 熱や火にも比較的強い
  • 薄いにもかかわらず、強さも柔らかさも持つ


【革の一覧表】種類や特徴|素材の魅力

革製品をつくる道具の画像革の種類や特徴、素材の魅力についても紹介します。
それぞれの動物別に解説していきたいと思います。

牛革|カウレザー【ハラコ、カーフ、キップ、ステアハイド、カウハイド、ブライドル】

もっとも多く市場に流通しているのが牛革(カウレザー)です。
美しい仕上がりと強度を兼ね備えているため、とてもポピュラーな革です。

革やバッグ、ベルトや財布、家具などに使用されていますが、牛の月齢や性別によって名称や性質の違いが出てくるため、カウレザーについては少し詳しく解説しましょう。

ハラコ

ハラコは、メス牛のお腹の中で死んでしまった子牛や、出生後すぐに死んでしまった子牛の革です。
革の面積が少ないため、希少価値は高くハイブランドなどに使用されます。

カーフ

カーフは生後6ヶ月未満の子牛の革です。
生後3ヶ月以内の子牛の革はベビーカーフと呼ばれきめの細かさや柔らかさがハラコ同様の高級品として使用されます。
いずれも、若いために革の傷も少ないのが特徴。


キップ

キップ生後6ヶ月以上、生後2年未満の子牛や若い牛の革です。
ハラコやカーフのように表面の傷が少ないことと革の厚みや強度を兼ね備えているため、靴などに使用されることが多い革となります。

ステアハイド

ステアハイドは、生後2年以上経過後の牛の中でも、食用のために去勢されたオス牛の革です。
市場では最もよく出回っている革で、大人になった牛の革は安定し、革の厚みが均等で加工しやすく、総合的に品質が優れているのが特徴です。

カウハイド

カウハイドは、出産経験をもつメス牛の革で、ステアハイドと比較すると柔らかいのが特徴。
腹部の革など広範囲の革を大きく取れるため、ジャケットやボストンバッグなどに使用されることが多いです。

ブライドル

ブライドルは、カウハイドに強度を持たせるために、数か月(ベジタブル)タンニン鞣しを施した上で、ロウをしみこませた革
表面に白いロウが浮いているのが特徴で、乗馬などに使用されることが多いです。

馬革|ホースハイド

【特徴】
牛革の強度より劣るが、柔らかさとしなやかさを兼ね備えている。

【よく使われるもの】
靴・バッグ・ランドセル・小物

牛革(ホースハイド)の中でも「コードバン」と呼ばれる革はとても有名です。
馬のお尻の部分を使用しており希少価値が高いものとなっています。
硬さや光沢などを持ち合わせておりランドセルなどに使われています。


豚革|ピッグスキン

【特徴】
非常に柔らかく、毛穴が大きいため通気性が良い。
摩擦にも強いため、革製品の内側の生地として使用されることも多い。

【よく使われるもの】
靴・バッグ・ウェア・小物

豚革は、革の中でも唯一国内供給ができ、海外に輸出もされています。
スウェード素材に仕上げたピッグスキン・スウェードは非常に人気で靴や靴の中敷きなどにも使用されています。

バッファロー|バッファローハイド

【特徴】
柔らかさと丈夫さを持ち合わせているため加工しやすく、多流通。
耐水性もあるため、ジャケットなどに使用されることも多い。

【よく使われるもの】
ウェア・小物

表面上のシボが特徴で「水牛革」とも呼ばれており、比較的手に届きやすい価格で流通しています。

山羊革|ゴートスキン

【特徴】
耐久性があり、傷や水、湿気に強い。

【よく使われるもの】
靴・ウェア・ハンドバッグ・手袋・グローブ

ゴートスキンは、その耐久性からフライトジャケットなどにも使用されている、強いレザーとして有名です。
また、子山羊の革はキッドスキンと呼ばれており、強さに加えてきめ細かさと柔らかさも兼ね備えているので人気のある革です。


羊革|シープスキン

【特徴】
非常に柔らかく、革の内部の脂肪の多さから断熱性にも優れている。
強度があるのも特徴。

【よく使われるもの】
帽子・ウェア・ゴルフグローブ

ウェアの中でも、その断熱性から防寒着に使用されることが多いです。

ワニ|クロコダイルレザー

【特徴】
非常に高い強度を持っている。

【よく使われるもの】
ハンドバッグ・ベルト・財布・小物

高級レザーとなるエキゾチックレザーの中でも、非常に強度が高いためとても人気の革です。
革も大きく分けて「クロコダイル」「アリゲーター」「カイマン」の3つがありますが、いずれも革の中では最強と言えるほどの強度を持っています。

トカゲ|リザードレザー

【特徴】
きめ細かな鱗(うろこ)模様が人気。
薄いけれど、傷や擦れに強い耐久性。

【よく使われるもの】
ハンドバッグ・ベルト・財布・小物

トカゲ革の中でも最大のリングマークリザードは、独特の鱗模様と丈夫さから最上級の品とされています。
近年はその独特の柄を処理して除去したものも流通しています。

蛇|パイソンレザー

【特徴】
蛇ごとに違う個性的な鱗(うろこ)模様が人気。
柔らかさと強度が特徴。

【よく使われるもの】
ハンドバッグ・ブーツ・小物

「スネーク」と呼ばれる小さな蛇の革と、「パイソン」と呼ばれる中〜大型のヘビの革があります。
鱗模様の独特さからファッション性が高く、バッグや靴などの小物に取り入れてコーディネートを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。

ダチョウ|オーストリッチレザー

【特徴】
鳥類最大の鳥であるため羽を抜いた後が丸く突起し、この部分の柄が希少とされている。
毛穴による柄も特徴で人気。
柔軟性と強度を兼ね備え、高級素材とされている。

【よく使われるもの】
ハンドバッグ・ウェア・小物

爬虫類革と並んで、エキゾチックレザーとして幅広く活用されています。

鹿革|ディアスキンレザー

【特徴】
手触りの良さが特徴。
柔らかで、耐水性にも優れている。

【よく使われるもの】
ウェア・手袋・拭きものなど

中でもタンニン鞣しを施したものは、セーム革と呼ばれ水分を吸収しやすいが硬くならない特徴があります。
その上、伸びても元に戻る特性があるため、眼鏡のレンズ布や自転車磨きなどにも重宝されています。


【革の最終調整|フィニッシュ】仕上げの加工について

革製品をつくっている画像革の最終調整でもある「フィニッシュ」と呼ばれる仕上げ加工の工程について解説します。
革の種類別に、以下の順で紹介します。

  1. ヌメ革
  2. オイルレザー
  3. エナメルレザー
  4. ガラスレザー
  5. ブライドルレザー
  6. スウェード
  7. ヌバック
  8. シュリンクレザー
  9. 型押し
  10. 銀付き革

革の仕上げ加工①|ヌメ革

ヌメ革は、仕上げ加工がされていないのが特徴。
タンニン鞣しを施した状態で使用されるため、使えば使うほど経年変化(エイジング)が起こり味わい深くなるのが特徴。
自分で「仕上げ加工」を楽しむ革と言えるでしょう。



革の仕上げ加工②|オイルレザー

オイルレザーは、鞣しを施す段階(または、その後に)オイルを含ませる仕上げのことです。
オイルを含ませることにより、革がしなやかで丈夫に仕上がり傷にも強くなります。


革の仕上げ加工③|エナメルレザー

エナメルレザーとは、エナメルと呼ばれるウレタン樹脂などを革の外側に塗布し、乾燥させた仕上げのことです。
水や汚れに強くなり、艶や硬質性を持つのが特徴です。

革の仕上げ加工④|ガラスレザー

ガラスレザーは、革を削り合成塗料などを使用して表面を均一に仕上げることで美しく仕上がります。
傷や汚れ・シワなどを隠すことが出来るため比較的安価で流通しており、耐水性が高く手入れが不要であることがメリットです。

一方、革の経年変化を楽しめないことやクリーム・オイルケアなどを施せないのがデメリットとなります。

革の仕上げ加工⑤|ブライドルレザー

ブライドルレザーは、タンニン鞣しを施したカウハイド革に蜜やロウを長期間しみこませた革のことです。
光沢感と高い耐久性とを兼ね備えているうえ、仕上げ工程に非常に手間暇がかかるため高価になります。

防水ではありませんが、時間をかけて油分を多く含んでいるレザーであるため水にも強いといった特徴があります。
馬具などに使用されています。

革の仕上げ加工⑥|スウェード

スウェードは、鞣し加工をした革の内側をサンドペーパーなどで磨き、毛羽立てたものです。
起毛することで、温かみや柔らかみのある肌触りが特徴となります。
スウェードの中でも高級とされるシルキースウェードは、毛足が細かく短いものが使用されています。

革の仕上げ加工⑦|ヌバック

ヌバックはスウェード加工と同じ手法ですが、スウェードは革の内側なのに対しヌバックは革の表面に仕上げ加工を施したものです。
スウェードと比較すると、マットでさらっとした質感に仕上がっています。

革の仕上げ加工⑧|シュリンクレザー

シュリンクレザーは、鞣し工程で特殊な薬品を使用し、人工的に革の表面を収縮させたものです。
革の表面を収縮させることで、柔らかく傷が目立ちにくい仕上がりとなります。
また、シュリンクレザーのひとつとして、薬品を使用せず革を収縮させる加工をもみ革といいます。


革の仕上げ加工⑨|型押し

型押しとは、鞣した後の革に高音圧プレスによって革に凹凸を付ける仕上げ加工です。
凸凹の模様は様々ですが、エキゾチックレザーのように蛇やワニなどの爬虫類柄に似せて仕上げることが多いです。
完成度は非常に高く、見た目だけではエキゾチックレザーと判断がつかないようなものもあります。

革の仕上げ加工⑩|銀付き革

銀付き革とは、革の表面(銀面)をそのまま使用し仕上げ加工をしない革のことです。
そのため、革に汚れや傷の無い高級で希少な革しか使用できないため、高価になります。
革本来の風合いを楽しむことができる反面、非常にデリケートな素材となります。



まとめ:革の種類や特徴の完全版|基礎知識や素材の魅力を動物別に解説

何枚もの革の画像いかがでしたでしょうか。
今回は、革の基礎知識として「革と皮の違い」や「一般革と高級革の違い」をお伝えした後に、革の製造工程である「鞣し」と「フィニッシュ(仕上げ加工)」について詳しく解説しました。

また、革の種類について多くの動物の革を紹介してまいりました。
日常使いするものから高級品まで、非常に多くのアイテムに革が使用されています。
手持ちの革製品の扱いやショッピングの際に、知見として役立ててくださいね!

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